「小さな農家 大きな挑戦 香り輝くウーノン茶」

烏龍茶や紅茶は、以前は、共同工場の片隅で、ちょこちょこと製造していたのですが、2018年春より、とうとう自前の工場を立ち上げました!ここ静岡県西部では初となる本格的な烏龍茶茶工場(だと思います)!
台湾烏龍茶の美味しさに感動したのは2014年1月でした。この味と香りを自分の手で!という想いから、スタートした烏龍茶作り。試行錯誤しながらも、可能性を信じて挑戦してきました。品種の選定。葉の状態。天候。日光に当てる時間。撹拌の仕方、などなど考えることは無限。ホットプレートでの試作は数知れず、たくさんの名もなきお茶たちが僕の喉を通っていきました。あ〜、うーん、お、いや〜、おー、あれ?おっ!?みたいな感想しかでてきませんでしたが。

2016年10月、国内で探し求めていた美味しい烏龍茶が宮崎にあると知って、宮崎へ足を運びました。
2017年4月。国内に飽き足らず、台湾の高山、日本人もめったに行かないような山奥までも足を運びました。

そして、2018年春。とうとう、うの茶園専用の「ウーノン茶工場」が出来上がりました。紅茶と釜炒り茶もこちらの茶工場で作っています。
理解ある方に、古民家を譲っていただきました。我が茶工場は、ちょっと風変わりな「古民家風茶工場」です。アクセスが非常に悪いぶん、秘密めいた僕のウーノン茶を製造するにはもってこいのロケーションです。1年がかりで、ほぼDIYで仕上げました。
床を外し、土間を打ち、機械を据えました。壁をはり、天井板をはり、排水から給水まで行いました。トイレも自作。
古民家の半分はお茶工場に、もう半分は喫茶スペースとして整備しました。アクセスの悪さから、よほどコアなお客様しか来るはずありませんが、せっかく来てくれたお客様にはオモテナシできるような空間に仕上げています。

ウーノン茶製造の要となる殺青機は台湾よりやってきました。
揺青機とカレイ(大きい竹製のザル)は、熊本の下田茶園さんより譲っていただきました。レンタカーでロングトラック借りて48時間で熊本と往復2200km。二度とやりたくないですが、いい思い出です。その他の機械は、地元春野町で大事に使ってもらっていたものを譲り受けました。

設備は整いました。
が、肝心のウーノン茶の質が、まだまだ発展途上中です。2019年は2回台湾へ行き、実際に包種茶農家にテントはらせてもらって修行してきました。(参照:茶々っと台湾2019@〜D,台湾武者修行の旅2019@〜D)
コロナがあけて2023年ようやく再び台湾へ。東方美人茶の修行をしてきました(美人に首ったけの旅2023@〜C)
2024年は念願の台湾春茶の修行へ(台湾春茶の旅2024@〜)
おかげさまでだいぶ安定してきました。2024年には、日本茶アワードでは烏龍茶部門で最高賞のプラチナ賞をいただき、国産紅茶グランプリでも2年連続で入賞するなど、評価も得られるようになってきました。
それでも、慢心せずに精進し続けます。

茶工場には下記のような言葉を、よく見える位置に飾っています。
「没有最好,只有更好」
この言葉は中国語の勉強をしていたときに出会った言葉です。僕の心に刺さったので、思わず筆を取りました。
直訳すると「ベストはない。ただベターがあるだけだ」という意味です。つまり、昨日よりも今日、今日よりも明日、より良いお茶を作っていこう、最高のものはできない、ただ、一歩一歩前進あるのみ。

うの茶園のウーロン茶、その名も「ウーノン茶」。今後の進化にご期待ください。